「カネカ」は、二人目のお子さんの誕生、転居したばかりの社員へ、その数日後に転勤辞令を出しました。
そのパタハラを明かしたツイートからカネカは大炎上。株価が大暴落する事態となりました。
「「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃 」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/060300015/
実はこれと同じことは、ホンダでもよくあることです。
新婚ホヤホヤのカップルを引き裂き、海外転勤させるというのは、至って普通なのです。
新婚直後にインドへ飛ばされ、3年の別居生活から帰った職員。
復帰の最初の一言が
「なんとか浮気されずに済みました」
でした。
なぜこうしたことが起きるかと合うと、人事安定のためでしょう。
結婚、出産し、新居まで決まると、安定収入がなくては路頭に迷うことになります。
そして「これで会社をやめることはないだろう」と足元を見る人事がいるわけです。
人生でも指折りの幸せな時期。その二人を引き裂くことの痛みより、人事の安定を優先するわけです。
ご夫婦の年齢によっては子供を授かる機会が永遠に失われる可能性もあります。
社員からするとせっかくの新居は台無し、様々な困難、コストが降りかかることになります。何より最愛の人といる時間を強制的に剥奪されます。
そしてついに奥さんが悲鳴を上げたのです。
また、定年退職3年前の職員を海外に飛ばす人事もあります。ここで退職したら退職金が減額されるわけですから、ここでも人事に足元を見られているわけです。
胆力のある職員は猛抗議をし、それでも聞き入れられない場合は捨て台詞をはいて転勤していくのですが、それができるのはひと握りでしょう。
多くの職員は涙をこらえて出ていくはずです。
ホンダには「人間尊重」という言葉があります。
これも社内ではめっきり聞かなくなりましたが、
「自立、平等、信頼」
という3つの柱からなるホンダフィロソフィー(哲学)です。
「Honda|会社案内|企業理念」
https://www.honda.co.jp/guide/philosophy/
立場で待遇を差別することは果たして「平等」か。
不当な仕打ちをうけた職員が会社を「信頼」するか。
カネカのように炎上しない理由は、私にもよくわかりません。
一度悪評がつくと、ネット上ではいつまでたっても記録が残り続けます。
セガの「パソナルーム」など、もう20年前の話なのに今でも多くの人が知る単語です。
「セガ・エンタープライゼス事件① 会社が負けた判例の概要」
https://gentosha-go.com/articles/-/13386
「株式会社は株主利益のための会社」
これをあまりにも重視しすぎて、業務や人事で不義を働くと、いずれ社員や世間にそっぽを向かれる、という話です。
もちろん人事の安定は経営の安定につながり、株主への貢献、安心感にもつながるでしょう。
しかし、やはり何事も「中庸」が大切。
株主第一主義過ぎても問題があるのです。