ADHDのあなたが安定してお金を稼ぐコツは、正論を固持しすぎないことです。
なぜなら、世の中にはあなた以外に、たくさんの考えを持った人達がいるからです。
あなた以外の人々は、そのひと個人のやりたいこと、利益のために働いています。
私たち発達障害当事者、特にASDのある人間にとって、こうした普通の世の中を渡っていくには、コツがあるのです。
そもそも世の中には「絶対的な正しさ」というものはありません。
あなたの正論はあなたの正論。他人の正論はその人の正論です。
先ほどと別の例ですが、再び考えてみてください。
100年以上前の話です。日本の主力産業は繊維産業でした。電機でも、自動車でも、ましてやIT産業でも当然ありませんでした。
工場で多くの作業員を雇って、糸を紡ぎ、製品を作っていました。
しかし景気悪化で繊維産業は衰退し、会社の利益も減ってゆきます。現状維持では、会社の存続が危ぶまれます。
ここで新規事業として自動車事業を立ち上げたのが、トヨタ自動車です。
実例からは離れるとして、このように、経営方針としてA案とB案があるとします。
A案は業種転換、B案は既存事業を続けるとします。
業種転換をし、電機産業や自動車産業など新規事業に転換すれば、会社としては存続が図れる可能性があります。長期的な視点に立てば、それがよりよい選択でしょう。いわゆる「正論」です。
ASD者はじっくり分析し、出した「正論」をはっきりという傾向があります。またADHD者は新しい事好き。時代の変わり目には真っ先に飛びつき、その「正論」を全力でアピールするでしょう。
しかし、だれもが合理的判断をするわけではありません。また、新しいもの好きはそれほど多くありません。すると、その変化についていけない従業員たちは職を奪われることになります。
社内で職にあぶれる不安感、不信感が取り巻いている状況の従業員たちにとっては、現状維持で家族を養っていくことが「正論」なのです。
普通の人に変化か退職の二択を求めるというのは、実はとても酷な事なのです。
健常者がなぜ合理的な選択をしないのか、ASD者には理解できないことがあります。
健常者にとっての「適温」は、ADHD者にとっての「ぬるま湯」すぎたりします。
こういった状況において、発達障害当事者は、極めて「正論」を通す傾向があるように思います。企業の存続、利益、世の中のために改革を進めるべき。そういった考えをする人も多いでしょう。会社員時代、私もそうでした。
しかし、世の中は自分の「正論」だけで物事は決まりません。
組織は人間関係、社内政治など複雑な仕組みで出来ているのです。
「正論」を通すことが正解でないことが多々あります。
とはいえ、特にADHDタイプの多くの人は、自分の興味のないことに取り組めない人も多いことでしょう。
しかし、やはりこれは修行なのです。お金をもらいながら、仕事のノウハウ、人間関係を勉強させてもらっている。これはとてもお得なことです。
こうしてスキルをためて、その会社でやっていけそうだったら続ければいいですし、面倒だったりダメそうだったら、転職や独立開業の道もあります。
そのための準備を、お金をもらいながらできていると考えれば、とてもお得であると言えるでしょう。
なにも、今の会社にずっといる必要はないのです。そもそも終身雇用の時代は終わり、特に定年間際でない大多数の人は、転職や独立、副業を兼業することとなる時代です。
その時のための、なぜかお金をくれる修行道場だと思って、試してみてください。