●ホンダのEV戦略はなぜ鈍いか
衝撃!箱根駅伝の「白バイ」がいつもと違う!? 先導白バイがホンダでなくナゼBMWに? | くるまのニュース
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二輪、四輪とも電動化の動きが鈍い背景には、やはり雇用の問題があります。
今までエンジン関係の開発、生産に携わってきた人材が職を失うことになります。さらにはエンジン関連のサプライヤーやその他ステークホルダーも商売ができなくなります。
新しく電動関連の技術屋になろうと言っても、機械工学と電気工学は全くの別物。
エンジン開発を30年やってきた職人が、明日からモーターの設計やれと言われれば、やはり戸惑うでしょう。
30年やってきた自転車修理のおじいさんが、スマホの修理を始めろと言われても腰がなかなか上がらないわけです。
またモチベーションの問題もあるでしょう。
エンジンがやりたくて入ったホンダで、モーターやバッテリーをやらなければいけない。
技術職ならまだいい方で、経理や総務へ飛ばされる可能性もある。
一人や二人なら不満も抑え込めるでしょう。しかし膨大な数の従業員がこうなれば、職場のモチベーションや士気に重大な影響があるでしょう。
凄腕のエンジン職人が電装設計の職場へ異動となり、何十歳も若い後輩の下で働く。これはなかなか辛いことです。人間関係的にも辛いのです。
また、電動化とは、エンジン以外のパーツにも影響が及びます。
トランスミッションは非常にシンプルになるか、もしくは不要になります。
ガソリンタンクやエンジンオイル、その他油脂類も必要ありません。
そういった部分の開発者も職を変える必要が出てきます。
これらを考えると、簡単には電動化に舵を切れないわけです。
これはホンダに限ったことではなく、大企業ならよくあることです。30年前に世界を席巻していた日系電気メーカーの、いまの傾きぶりについて、いまさら説明の必要はないでしょう。
ただ、現状に固執して電動化に踏み切れないと、大量解雇や倒産の危機に発展します。シャープは海外メーカーとなり、東芝は様々なところへ身売りしました。
改革と現状維持のバランスをいかにとるか。難しい経営判断が迫られているのです。