技術系

トヨタの水素自動車の今後と将来性が厳しい、3つの理由

様々な視点において、トヨタが目指す水素自動車の将来は非常に厳しいかと考えられます。

1つ目は、炭素排出量において優位であるとは限らない点です。

炭素排出量に関して、EVと水素自動車、ハイブリッドのどれが最適解か、正確にシミュレーションする手段はないでしょう。

送電網の電力損失や、水素の原料をどうするか、大量のパーツが必要なハイブリッドは生産過程でどれくらい炭素を排出するのか。

さらには世界各国の政策の方向性もかかわってきます。

全てをひっくるめて考える必要があるのです。

水素自動車が炭素排出量に関して、特段優位ということが言えないわけです。

2つ目は、世界の政策動向です。

日本の経済が縮小しつつある現在、日系企業も日本ではなく全世界での商品展開を主眼に置く必要があります。

北米、欧州において、将来のモビリティ計画としてEVがスタンダードになりつつある現在、全世界で水素の供給網を作るというのは、現実的とはいえません。

水素自動車はエネルギー密度の点で優位性があると思われる方もいるでしょう。

しかし、10年スパンで見た場合、自動運転やスマートグリッドが視野に入ってきます。

水素自動車が「クルマ」として優位性があったとしても、「移動手段」としてはどうでしょうか。

例えば、スマホアプリで好きな時に自動車が呼び出せ、スマートグリッドから勝手に充電してくれるようになれば、EVのネックである航続距離もさほど問題にはならないでしょう。

また、バッテリー技術自体も発展し、さらに航続距離は増えてゆくはずです。

これが3つ目、航続距離においても優位とは言い切れない点です。

トヨタが燃料電池を、車に限らず汎用的な用途として流通させようとしているというのは興味深く思います。ただやはり、世界中に流通網が発達するかどうか。

それを普及させるだけの製品群が出来上がってゆくかどうかにかかっていると思いますが、やはりどうも現実的でない感じがします。

総合すると、短期的には燃料電池はバッテリーよりもエネルギー密度が高く、したがって航続距離も長く取れる可能性がある。

ただ、バッテリーやその他技術の発展する10年スパンで考えると、優位性がなくなると考えます。

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