財政破綻論

東洋経済の残念な間違いまとめ① 小幡 績

繰り返される、間違った貨幣観

度々繰り返される「日本はこのまま財政破綻する」という財政破綻論者たち。今回は下記の寄稿の誤りを指摘してゆきます。

このまま行けば日本の財政破綻は避けられない(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース

筆者

小幡 績

小幡 績(おばた せき、1967年 - )は、日本の経済学者、投資家。専門は企業金融、行動ファイナンス、政治経済学。慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授。Ph.D.(ハーバード大学、2001年)。

間違いを訂正してゆきます

>「インフレが起きてないから大丈夫」などと完全に誤った主張をする

過度なインフレが起きない限り大丈夫です。

>借金を積み上げ、一度も借金を減らしたことのない政府、そして、毎年の赤字額は年々増えていく。毎年新しく借り入れる額が増えていく政府。貸しても返ってこない、と考えるのが普通で、誰も貸さなくなるだろう。つまり、政府が借金をしたいと、新しく国債を発行しても、それを買う人がいなくなるのである。

政府の子会社である日銀が全て買いますよ

>政府が不足しているのは現金である。キャッシュがなければ、国民にも配れないし、公共事業もできないし、国民の医療費の肩代わりもできない。

日銀から調達できます。

>道路に価値があっても、買う人がいなければ売却はできない。価値があっても価格がつかないというのは、金融市場でなくとも普通のことである。高速道路だけでなくすべての道路に課金すれば、というような議論は意味がない。

高速道路は課金するためにあるのではなく、インフラ整備のために作ります。そういった投資で経済が回ってゆきます。

>個人の金融資産は銀行に預けられ、地域金融機関やあるいは半公的な金融機関、ゆうちょ銀行などに預けられている多くの部分は国債になっているから、返ってこない。国民の金融資産の実質価値は激減してしまうのであり、国債の返済は先送り(リスケ)されていつかは返済されるとしても、長期にわたり、インフレ分は目減りするし、何より、すでに老後を迎えている多くの国民は貯金が今必要なのに使えなくなってしまう。

こうやって誤った理屈で国民の危機感を煽るのはやめていただきたいです。

財政破綻論者の文面にはなぜか、かの矢野論文にもあった「やむにやまれぬ大和魂から」などと感情に訴える財政破綻論者が多い印象です。

>MMT理論の誤り、インフレにならないことの誤り、これについては長くなったので、次回にしよう

際限なく国債発行すればインフレになります。それもMMTで語られていることです。MMTについてよくご存じないわけです。

>日本がこれまで破綻しなかったのは、政府に金を貸してくれる人がいたからで、いまやそれが日銀しかいなくなりつつある、というのが問題であり、250%で破綻しないことは、今後破綻しないことを意味しない。

借金ではなく債務です。お金が誰かの貯金から借りて作られるという考え方が間違いであり、信用の創造から作られます。これはMMTではなく、現在の貨幣論の基礎です。

誰かにお金を借りてそれで政府を運営してゆくという考え方は、400年前の金本位制時代の理論です。

結局この手の貨幣観の間違い(もしかしたら故意にやられているのかもしれませんが)から積極財政やMMTを批判する財政破綻論を無理やり成り立たせようとする言論人が多いですね。

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